出張で東京に来ているのですが、仕事が終わったので、吉村昭さんの「東京の戦争」を読んでいます。
この小説は吉村昭さんの体験をもとに戦時中の東京の様子を描いた作品ですが、冒頭に、
「私は昭和2年5月1日に生まれた。年号が大正から昭和に改元されたのは前年の12月25日であるので、私は昭和という時代そのものを生きたことになる。」
と書いてあります。
で、実は亡くなった私の父も昭和2年生まれ(3月5日)で、名前も同じ「昭」なのです。
名前が同じなのは知ってましたが、同い年とは知りませんでした。
昭和になったばかりの年に生まれたから昭と名付けたのでしょうか?
終戦時には18歳で軍隊に入るギリギリの年齢だったと書いてあります。
当然、年齢的にはすべて父とダブりますので、読んでいるとまるで父の昔話を聞いているような気分になります。
吉村昭さんの小説は昔から好きですが、一層親近感が湧いてきました。
「おしろかった本・映画・テレビ番組」カテゴリーアーカイブ
デフレではない
野口悠紀雄先生の「日本経済改造論(2005年 東洋経済)を読み返してみたのですが、デフレについて書かれています。
野口先生はここ数年の経済状況は「デフレではない」と書かれており、したがってデフレ対策としての「金融緩和」は意味がないとしておられます。
私は全くその通りだと思うのですが、そのようなことを主張する人も、本もテレビ番組もほとんどありません。
ネットで「デフレではない」と入力して検索してもほとんどヒットせず、ヒットしたページを見てみると「よいデフレ」と「悪いデフレ」があって今は「よいデフレだ」などと、よくわからないことを書いておられたりします。
で、その野口先生さえも「日本を破滅から救うための経済学(ダイヤモンド社)」の10ページで、
「しかし、実際には、日本で1990年代以降生じている物価の下落を「デフレ」と呼ぶことがごく一般的だ。これに異を唱えるのは、いたずらに混乱を招くだろう。そこで本書においては、やむを得ず、本来はデフレではない現象を「デフレ」と呼ぶことにする。そして本来のデフレを「教科書的な意味の一様な物価下落」ということにする。
と書いておられます。
ここはこだわっていただきたいところなのですが、仕方がありません。
たしかに問題の本質は「デフレの定義」で議論することではなく、野口先生が同じページで
「この区別(デフレかそうでないかの区別)がなぜ必要かといえば、必要な対策が異なるからである。」
と書いておられる通り、正しい経済政策が行われているかどうかという点にあります。
貨幣現象たるデフレではないのに金融緩和をやっても仕方がないというのが問題の本質ですね。
「日本経済改造論」では次のような説明をしておられます。
・物価指数が低下してきたのは事実だが、これは経済構造の変化が引き起こした実物的な現象であり、貨幣現象たるデフレではない。
・そしてこれは日本の高物価体質を是正することになる
・「デフレだから経済活動が停滞する」という主張は間違いである
・「教科書的なそもそも論」で言えばデフレが経済活動に与える影響は、原理的にはあり得ない
・貨幣現象であるデフレは、総需要縮小などの実物的要因で起こるものではなく、貨幣供給用の縮小によっておこる。
・しかし現実には(金融緩和によって)貨幣供給量は増加している。これから見てもデフレ不況論が誤りであることがわかる(この本は2005年に出版されています)
仮に金融緩和で物価が上がったとしても、それは異常に上がりすぎた貨幣価値を適正価格にまで下げたということなので、企業の売上が増えて利益が増え、社員の給料が増えたとしても、貨幣価値が下がっているので社員の実質所得に変化はない。
「デフレだから金融緩和」という政策は、既存の産業構造を温存したままで、なんとか金融的な手法で解決しようという意図があるのではないでしょうか?
また、「インフレは税」とも言われます。
インフレ(すなわち貨幣価値下落)になれば、我々の定期預金などの実質価値が下がり、政府の借金などは逆に実質負担が軽くなります。
では、経済政策をどうすればよいか?
野口先生は「産業構造を変えることが必要である」と言っておられます。
ただちょっと抽象的なので分かりにくい。(金融立国とか書いておられますが、私には具体的なことがわからない。)
で、前置きが長くなりましたが、そこで大前研一さんの「クオリティ国家という戦略」が大変参考になります。
このような方針が日本の生きていく道だと私も感じました。
・ここ数年飛躍を遂げているのはスイスやシンガポールなどの「クオリティ国家」だ
・これらの国は小国でかつ開放経済
・税制優遇で外国企業を誘致し、移民も受け入れている
・ブランド戦略がうまい
・オーガナイズスモール=企業を元気にするには組織を小さくするしかない
・よって大阪都などの道州制は有効
・日本にしかないもの、日本人でなければできないことをやる。
・ブランド戦略が重要 コモディティを作っていたはダメ
・起業が雇用を生む
などと書いてあります。
私は日本経済の大問題はデフレではなくて、産業空洞化に伴う雇用減だと思います。
特に若い人は失業率が高いと聞きます。
若い人に仕事がなければ、結婚もできないし子供もできないので少子化も進むな。
ただ、企業にも雇用を増やすことができない事情があるでしょうから、日本はもっと若い人たちの起業を促進するような経済政策をとるべきではないでしょうか?
一時的な補助金などではなく、たとえば税制。
日本の税制は給与所得控除や社会保険などの面でサラリーマン優遇・個人事業主冷遇だと私は思います。
商売人は不当に儲けているから高い税金をかけるという昔ながらの思想か?
また、サラリーマンは自営業者に比べて脱税の余地が少ないので、公平にするために手厚い給与所得控除が設けられているなどという人もいます。
「若者よ、おとなしく勤め人になれ。商売なんかするな。真面目にやれ!」
という考え方ですね。
これを変えるべきだと思います。
個人事業なら、青色申告特別控除65万円ではなく、控除前所得の金額に対して給与所得控除と同じ控除額を適用してはどうでしょうか?
また、設備投資について、投資した年度に一括経費を認め、赤字が出た場合は、個人事業も法人と同様に9年繰越控除を認めるというのはどうでしょうか?
法人設立費用だって、30万も35万もします(半分くらい税金)が、もっと安く設立できるようにしてはどうでしょうか?
一時的な補助金や制度融資などではダメで、若い人が
「これなら商売を始めよう!」
と思えるような政策を行ってほしいと思います。
今はパソコンやインターネットが発達して、若い人が起業しやすくなっていると思います。
アニメ・音楽・ネット販売・デザイン・動画サイト運営など初期投資を少なく抑えていろんなことを始められる。
若い人が起業して、世界で日本ブランドを売りまくるようになると、日本はクオリティ国家となり、経済も大いに復活することになると思います。
そういうわけで、たいへんタメになる本でした。
完全に治ったな
約二年前から足底筋膜炎に悩まされてきましたが、気が付くと完治していました。
今はウソのようにまったく痛くありません。
治った理由は、この本に書いてある通り、アゴを引いて背筋を伸ばす(骨盤前傾)を心がけて走ったからです。
この本を書いた伊藤和磨さんも足底筋膜炎に悩まされた時期があり、いろいろ対策をして一年で治ったが、なぜ治ったのか理由がわからないと書いておられます。(122ページ~123ページ)
なんでこんなこと書いておられるのでしょうか?
伊藤さんが他のページで書いていることを実行したら治ったのに!
おかげで、昨年の神戸マラソンも実に快適に走ることができました。
タイムは全然遅いですが、私にとっては前年より一時間以上短縮できましたし、
おととしはゴール後、地下鉄の階段を上り下りするのが苦痛でしたが、今年は最後の5キロあたりでふくらはぎが痙攣したものの、ゴール後はスイスイ歩くことができました。
いままで、足裏のストレッチやマッサージなどいろいろやりましたが、まったく効果はありませんでした。
整体の先生には足裏のテーピングをしてもらいましたが、これも効果なし。
テーピング靴下もダメ。走った後にアイシングもしましたがダメでした。
結局、このような痛みは生活習慣病なので、痛い部分のケアをしてもダメで、原因である生活習慣を見直さないとダメなんでしょう。
私は若い頃から、よく姿勢の悪さを指摘されます。
猫背なのです。
ですから、今も気を抜くとすぐに猫背になってしまいます。
先日、パソコンが入った重い鞄と、お客様からお預かりした年末調整の資料がたくさん入ったカバンを持って歩いているとき、久しぶりに足裏に痛みが走りました。
私の場合いつも左足で、足裏のカカトの少し前が痛くなります。電気が走ったような痛みです
あれっ?と一瞬思いましたが、背筋を伸ばし、アゴを引いて歩いてみるとすぐに治りました。
無意識のうちに元の猫背になっていたのでしょう。
実は神戸マラソンの時も、ハーバーランドの手前あたり(35キロぐらいでしょうか?)からは疲れがたまって、アゴを引いて背筋を伸ばすことができなくなってしまいました。
ちょっと気を緩めると下を向いて走ってしまいます。
ずーっと良い姿勢を保つことは難しいのですが、これはやはり腹筋や背筋を鍛えるしかないのだと思います。
というわけで、悩まされていた足裏痛からやっと解放されました
伊藤先生、本当にありがとうございました。
姿勢を正す
これは勉強になる本です。
私は昔から姿勢が悪いのですが、この本に書いてあるように骨盤を前傾させてアゴを引くと気分までよくなります。
また、この本の著者は足底筋膜炎に悩まされたそうで、今は改善しておられるのですが、治った理由がよくわからない。
わからないが、膝の裏側の筋肉を緩めたのが効いたのかもしれないと書いてあるので、早速、私もひざ裏を軽くマッサージしています。
また、この本とは関係ないのですが、最近、金哲彦さんの動画をよく見ているのですが、金さんのランニングフォームの指導では、
①腕を振る
②姿勢を正す
③骨盤を柔軟に動かす(上半身下半身連動)
というポイントがよく出てきます。
で、神戸マラソンを間近に控えた私は、姿勢を正して、骨盤を動かす練習をしています。
先週、先々週と日曜日は30キロ走を行いましたが、結構調子がいいのです。
最近は膝はあまり痛まず、左の足裏、足の甲、足首などが痛むのですが、姿勢を正して、骨盤を意識して走ると、左足の接地性がよくなり、痛みが大幅に減少したように思います。
今年こそ、最後まで歩かずに完走できるか?
わかりませんが、勉強になる良い本でした。
中国進出
中国に進出して、えらい目にあった会社のことが書いてあります。
表紙に「なぜここまでされて黙っているのか?!」と書いてありますが、
いまさら引き返せない。
こういうことを書いた本は少ないの
で、たいへん勉強になると思います。
資本主義の精神
「資本主義のための革新」小室直樹
日本は資本主義国ではなく、実質的に社会主義国である。
実質・社会主義国である日本では、政府だけではなく巨大化した企業組織も官僚化し、かつてのソ連が崩壊した時と酷似した危機的状況を迎えている。
「資本主義の精神 三つの側面」
①労働それ自体を目的とする精神
②目的合理的精神
③利子・利潤の正当化
この本だけではなく、小室先生の講演CDや過去の著作を読んでいると、どうも日本人は②と③(特に③)の精神が欠落しており、どこまで行っても資本主義社会にはなれないように思われます。
利子・利潤の正当化!
・弁護士、司法書士は、サラ金業者を相手にした「過払い利息の返還請求」のコマーシャルをいまだにやっている。
・「高ければ売り、安ければ買うのは当たり前という利益至上主義には慄然とせざるをえない」と発言する裁判官
・日本では技術が進歩して資本が蓄積されるから会社を作るのではなく、税金が安くなるから会社を作る
・「大東亜戦争とスターリンの謀略」より(クーデターをおこした青年将校たちの思想背景について)
「青年将校の思想内容には二つの面があることに注意する必要がある。そのひとつは建軍の本義と称せられる天皇の軍隊たる立場で、国体への全面的信仰から発生する共産主義への反抗であり、今一つは小市民層及び貧農の生活を護る立場から出発した反資本主義的立場である」(91ページ)
※共産主義は天皇制と私有財産制を否定
「共産主義が資本主義打倒を目的とするからけしからぬというのではない。即ち、日本軍部ファッショの持つ特殊の立場は、資本主義擁護の立場にあるのではなく、資本主義、共産主義両面の排撃をその思想内容としていたところにある。この思想傾向は後に述べる如く、最後まで共産主義陣営から利用される重要な要素となったことを見逃してはならない」(91ページ)
私腹をこやす官僚、高給取りの公務員には寛容だが、資本主義的な事業活動によって利益や富を手にしたものは許せない。
何か悪いことをしているに違いない
第三章からはシュンペーターの革新理論について触れておられます。
①革新(イノベーション)が起こる
②革新を起こしたものは、創業者利得を得る
③が、この利得は、革新(イノベーション)が模倣されることによってやがて消滅する
④利潤の鍵は、革新が不断に行われているかどうかにかかっている。
⑤革新が行われなくなれば、企業者ではなく経営(管理)者になってしまう(以上184ページ)
「資本主義の成功が、その滅亡の原因を作る」(209ページ)
「資本主義が発展すると、大企業の時代になる」
「大企業の官僚化によって資本主義は社会主義化し、衰亡し滅亡する」(248ページ)
つまり、自動車を発明し・商品化するのは革新だが、生産方法を「改善」し効率化が完成されると、もはや革新が生じる余地はない
あとは社会主義的に生産活動を行い、経営者はこれを管理するだけ。
こうなると、
①利潤率は下落し続ける
②実質賃金は減少し続ける
③地代は増大する
(244ページ)
野口悠紀雄先生の本、「日本式モノづくりの敗戦」だったと思いますが、
「日本の自動車メーカーは革新を起こしたのではなく、確立されたものを改善しただけだ」
というようなことを書いておられました。
全くその通りなので、日本経済は危機に陥っている
製造業の生産部門は次々と新興国へ移転し、国内製造業は空洞化。
大企業は官僚化し、実質国営企業化する。
実質国営企業では革新(イノベーション)はおこらない。
小室先生は、このままではいけないと書いておられますし、
野口悠紀雄先生は「古い企業体質を温存するのではなく、産業構造を変えるべきだ」と言われる
どちらも正しいと思いますが、実行するのは難しいのでは?
10年後、20年後の日本は、今よりもっと社会主義国になっているような気がするな
歴史認識
以前から読んでみたいと思っていた本を、GHQ発禁図書出版会というところにお願いして購入しました。
実に衝撃的な内容です。
・資本主義の下では戦争は不可避である
・資本主義国家(帝国主義)どうしを戦わせ、自己崩壊の内戦たらしめる
・ブルジョア政府とその軍隊を自己崩壊させ、プロレタリア革命を遂行する
・資本主義が顛覆され社会主義が勝利を収める(敗戦革命)
・すると戦争がなくなる
つまり日本をアメリカと戦わせ、日本が戦争に負けたところで、一気に日本を赤化しようとした というのがスターリンの謀略であったと書かれています。
(日本ではゾルゲや尾崎秀美らが実行した)
ハルノートを作ったのは、ハリーデクスターホワイトというソ連のスパイだったそうですが、
当時はソ連の謀略活動が非常に盛んであったようで、
日本人としては許せない事実だと思います。
150ページ「日華全面和平工作を打ち壊した者」は特に腹が立ちます。
このような和平工作が成功していれば日米戦争もなかったかもしれません。
私は本を読むのが好きですが、読書の大きなテーマは二つあります。
ひとつは、日本はなぜ戦争をしたのか?
もうひとつは、現代日本はなぜ社会主義国家的なのか?
の二つです。
侵略戦争か自衛の戦争か?
自ら戦争を仕掛けたのか?そのように仕向けられたのか?
小室直樹先生は「資本主義講座」のなかで、
「社会主義国で隆々と栄えているのが日本である」
と言っておられますし、
野口悠紀雄先生は「1940年体制」のなかで、日本経済は戦中の国家総動員体制時のままであると指摘されています。
(おふたりとも、そのことが今日の日本経済停滞の理由であると指摘しておられます)
なぜ、そうなったのか?
この本には、私の二つのテーマに対する答えが書かれています。
敗戦の結果、日本は共産主義国家にはならなかったが、その過程である社会主義的な体制は残った。
昭和初期から日本経済は不況続きであり、家族の悲惨な生活状況を見て、青年将校たちが立ち上がるわけですが、その思想は次のようなものであったと書かれています。
「青年将校の思想内容には二つの面があることに注意する必要がある。そのひとつは建軍の本義と称せられる天皇の軍隊たる立場で、国体への全面的信仰から発生する共産主義への反抗であり、今一つは小市民層及び貧農の生活を護る立場から出発した反資本主義的立場である」(91ページ)
※共産主義は天皇制と私有財産制を否定
「共産主義が資本主義打倒を目的とするからけしからぬというのではない。即ち、日本軍部ファッショの持つ特殊の立場は、資本主義擁護の立場にあるのではなく、資本主義、共産主義両面の排撃をその思想内容としていたところにある。この思想傾向は後に述べる如く、最後まで共産主義陣営から利用される重要な要素となったことを見逃してはならない」(91ページ)
今日の日本の社会体制は、戦前・戦中のこのような社会状況の影響が今日まで受け継がれていると考えられるのではないでしょうか?
終戦後、日本を占領したGHQの中にも共産主義者がたくさんいたそうなので。
「日本は昔、軍国主義だったから破綻したが、いまは民主主義だから平和になった」
などという単純な話ではない。
私たちはあの戦争を共産主義・社会主義・資本主義といった社会体制の面からもっとよく学ぶべきでしょう。
岸信介元首相は巻末の書評で、
「これを食い止めるには、自由主義体制を執るすべての国家が連携して、「自由と民主主義」をがっちりと守り、敵の一党独裁・計画経済に対するに、複数政党・市場経済の社会を死守することである。」
と書いておられます。
私はその通りだと思いますが、その後の日本の歴史はそのようにはなっていません。
これが現在の日本の大きな課題だ
ゴールデンウィーク
あの名作映画が!
先週の日曜日、子供と近所にあるゲオに行ったら、なんとレンタルDVDのコーナーに石原裕次郎の名作「黒部の太陽」と「栄光への5000キロ」があり、驚きました。
この2作は石原裕次郎さんの遺志で、映画館の大画面で見せたいのでDVDやビデオにはしないということだったと思うのですが、ついにDVD化されたようです。
早速レンタルし、先週の日曜は「黒部の太陽」、今週は「栄光への5000キロ」を見ましたが二作ともやはり名作です。
昭和日本を支えた男たちを石原裕次郎さんが見事に演じておられます。
また、両方とも映画とは思えないリアリティがあり、わざとらしさがないので、一気に映画の中の世界に引き込まれてしまいます。
「栄光への5000キロ」では、石原裕次郎さんが、本当に510ブルーバードでサファリラリーに出場しているように見えますし、
「黒部の太陽」の、トンネル工事中に水が大量に噴出し、作業員が吹き飛ばされるシーンも、超リアルでとても映画とは思えない。
よくこんなシーンが撮影できたなあと思います。
「栄光への5000キロ」は、子供のころにテレビで見て、感動した記憶があるのですが、
ずっと私は車が好きで、大学時代はラリーなんかもやっていましたし、卒業後はタイヤ会社に就職をしました。
私のクルマ好きは、この映画がきっかけだったのかもしれません。
なんといっても510ブルーバードがかっこいいなあ。
僕らの世代までの日本人は、この手のクルマを見るとシビレますね。
アプピーヌA110やアルファロメオも出てきますが、どれもかっこいい。
何度でも見たくなる名作です。
水平分業
「製造業が日本を滅ぼす」(ダイヤモンド社)
野口悠紀雄先生の本で、タメになります。
垂直分業× 水平分業〇
自動車産業も、電気自動車(EV)への切り替えを機に垂直分業から水平分業に移行する。
(ここが日本経済復活の最後のチャンスだと思われる。)
自動車産業がパソコンのような水平分業産業になり、中小企業が参入するようになると、「高付加価値の基幹部品」が重要になる
パソコンではインテルだった
他のPC部品がコモディティ化した中でCPUだけはインテルの寡占状態だ
日本の部品メーカーにとって自動車のEV化はチャンスでもある。
EVでCPUに相当するのは電池だろう。
以上は92ページ~
私はタイヤメーカーで商品開発をやったことがあります。
20年ぐらい前、開発の会議で、
「10万キロ走れるタイヤ(つまり長持ちタイヤ)」
を提案したらバカにされました。
当時、2013年にはこんなにたくさんのプリウスが街中を走っているというようなことは誰にも予想できなかった。
で、そのときの技術系の開発担当者は私に、
「川本さんの言うようなタイヤが本当に売れるのであれば、もうとっくにブリジストンやダンロップが作っているはずや」
と言った。
(ブリジストンは業界1位、ダンロップはその頃2位でした。)
これぞ日本の製造業!
このような考え方をするのは私がいた会社だけかと思っていたら、そうではない。
「トヨタは新しいものを作り上げたのではなく、確立された自動車生産方式を改善しただけだからだ」(33ページ)
EVが日本経済復活の切り札になればいいなあ。