「おしろかった本・映画・テレビ番組」カテゴリーアーカイブ

粉飾決算の解説本

以前に、お客さんがこの本が面白かったと教えてくださったので読んでみました。
確かに面白い。
私は税理士ですので、知っていることもたくさん書いてありましたが、大企業の粉飾事例などは勉強になりました。
でも、この本に書いてある通り粉飾した決算書は見ればすぐにわかることが多いので皆さん注意しましょう。
ずっと前、建設会社の社長さんに、公共工事に入札をするので粉飾をしてくれと頼まれたことがありました。

その日のブログ

私は、そんなことはできないのでお断りしたのですが、その時の社長さんの姿が忘れられません。
必死で頼んでこられたのです。
会社の死活問題や!と言っておられました。
でも、仕方がないですね。
私はよく知りませんが、細工をして公共工事を受注するなどということが横行しているのなら、これは大きな問題だと思います。
粉飾はやめましょう。

消費税は民意を問うべし

今、消費税増税が議論されていますが、非常に良いタイミングで小室直樹先生の名著が再版されました。
小室先生は2010年にお亡くなりになりましたが、まるで今の政治の混迷ぶりを見て、つい最近に書かれたような内容です。(この本は平成元年に出版された「消費税の呪い」の再版)
なぜなら、平成元年の消費税導入以来今日に至るまで、消費税の制度上の問題も、政治が抱える問題も、経済の問題も全く改善されていないからです。
非常にタメになる本で、色々と勉強になる点がありますが、最も重要なポイントは日本はデモクラシー国家になるべしという点(今はデモクラシー国家ではない)だと思います。
「デモクラシー」の反対語はなんですか?と問われると「軍国主義」と思う人が多いが、これは間違いで、デモクラシーの反対は「神権政治」である。(186ページ)
つまり人間中心の政治が「デモクラシー」で、その反対は神様が中心で、神の意志に則って行われる「神権政治」である。
が、今の政治家はこれが全く分かっていない。
選挙で選ばれたら自分が神になったと錯覚している。
では、政治はどうあるべきか?
小室先生曰く(90ページ)、
原敬首相は普通選挙を実施すべきか否か?これが問題になった時、与党が圧倒的に優位な状況にあった(解散しなくても法案は可決されたハズ)にもかかわらず議会を解散した。その結果、政権与党は以前にもまして圧倒的な優位を獲得した。(デモクラシー国家)
一方、岸信介首相は日米安全保障条約の直前に議会を解散しなかった。解散して選挙をしたら勝つに決まっていたし、安保騒動も起きなかった。(神権政治国家 岸首相は自分が神だと錯覚していた)
デモクラシー国家なのであれば、消費税については民意を問うべし。つまり議会を解散して選挙をすべきである。
小室先生は、
「手続き良ければすべて良し」それがデモクラシーだ。(125ページ)とまで書いておられます。
内容や結果よりもプロセスが大事。
「解散・総選挙 」つまり国民が決める。
自主課税。税金とは自分で自分に課するものである。(126ぺージ)
自主課税なき処にデモクラシーなし
ところで、今の総理大臣は、以前、「自分はルックスが悪いから解散総選挙はしない。」と発言しましたが、
一方、大阪市の橋下市長は、議会解散ではありませんが、政策を掲げて選挙で民意を問うというプロセスを踏みました。
この差は大きいな。
消費税増税法案が議会で否決され、結果的に解散総選挙になったとしても政治家としての資質・力量の差は埋められない。
小室先生の本はどれも勉強になるし、面白いのですぐに読み終えてしまいます。
先生の掲げるテーマは、日本が本当の資本主義社会となり本当のデモクラシー国家になるべしという二点にあると思います。
今のような閉塞感漂う時代に、日本のあるべき姿を示す小室先生の本を読んでいると少しだけ明るい気持ちになれますよ。

字幕ナシでも面白い

アイフォンを買ってひと月ほどたちますが、とても便利なので重宝しています。
パソコンと違って、どこでも使えるし、立ち上げやシャットダウンの面倒くささがないのがいいですね。
実は私、いつまでたってもうまくなりませんが、英語の勉強を続けています。
今まではパソコンでアメリカのニュース番組などを聞いていたのですがアイフォンを使えばもっと手軽に勉強ができます。
私のアイフォンには

・PBS NEWS HOUR
・CBS EVENING NEWS
・NHK WORLD
・英辞郎 on the WEB

などのアイコンを表示しています。
ネイティブの英語は本当に聞き取りづらくて難しいですが、外国のニュース番組で日本の震災のニュースなどが出てくると部分的に聞き取れたりするので楽しくなったりします。
また、アルクの英辞郎は以前からパソコンで使っていますが、アイフォンだともっと便利に使えます。
手軽に単語の意味が調べられて、しかも単語帳に保存ができるのです。
無料版を使わせていただいてますので、100語までしか保存できませんが、この100語という制約が良い。
100語ぐらいはすぐ使ってしまいますが、ニュースなどで何度も出てきて覚えてしまった単語は消せばよい。
制限がなくなったら覚えた単語までいつまでも残るのでジャマになります。

ところで話は変わりますが、私は映画「フォレストガンプ」が大好きです。
何度も見たり聞いたりしているのですが、何回見ても面白い。
おかげで、登場人物が次にどんなセリフを言うのかをほとんど覚えています。
で、これは英語の勉強になると思ったので、日曜日に英辞郎 on the WEB を片手に二回、見直してみました。
一回目は字幕なし。二回目は英語字幕付きで見ました。
わからない単語が出てくるといちいち止めて英辞郎で調べます。
でも、もともとセリフの意味が分かっているので、思ったほど英辞郎を使わずに済みました。
日本語字幕なしで見ると、
「あー、ここはこういう言い回しをするのか!」
といった発見があって、今まで以上に楽しく映画を見ることができます。
こういうことをやってみようという気が起こるのもアイフォンのおかげだ。

いつもお手本の国

確定申告でバタバタしていますが、おもしろかったので二日ぐらいで読みました。
私は昔、タイヤ会社で4輪駆動車のタイヤの商品開発をやっていましたが、その頃いつもお手本となるのはアメリカでした。
アメリカはいつの時代も(良い意味でも悪い意味でも)我々のお手本となる国です。
社会主義的な日本経済が危機的な状況にある。
これを資本主義的に改善するならアメリカをお手本にすべきだ
イヤ、オバマ大統領は民主党で社会主義的政策をやっている
などといろいろ書いてありますが、
でもさすがアメリカの人たちはいろいろ工夫してやっておられるようで、たいへん勉強になる本でした。

ハズレなし

あいかわらず朝走っているので、私はいつも早めにベッドに寝っころがって本を読みますが、そういう時に山本周五郎さんの本は最適です。
この本もよかった。
短編集で10編が収録されていますが、特に「法師川八景」がよかった。
主人公の女性は許婚者(いいなずけ)がいるにもかかわらず、別の男の子供を妊娠してしまいます。
で、その男が馬の事故で死んでしまい、仕方なく生まれた子供を一人で育てることになります。
このように書くと安物不倫テレビドラマみたいですが、全然違う。
主人公は、はじめは周囲の人々の誤解や反感をかうのですが、
その態度・行動が実に凛として立派であるために、次第に周囲の人たちの理解を得ていくという話。
実に感動的な話でした。
他の話も面白い。
山本周五郎さんハズレなし

走りたくなる本

日曜日に、本屋でランニングに関する新書を買いました。
面白い本だったのですが、
「靴はカカトのクッション性が良いものを履く。初心者は1万円ぐらいのシューズが良い。著者はオーダーメイドの2~3万円のシューズを履いていいる。」
などと書いてあり、このあたりを読んだとたんに、以前読んだ「Born to Run」をもう一度読みたくなりました。
この本は、全く逆で、
安物のすり減った靴のほうがケガをしにくい。裸足で走るのがベスト
などと書いてあります。
走る前にストレッチをしたらケガをしやすくなるなど、普通のランニング本の逆のことがたくさん書かれている。
読んでみると目からウロコの話ばかり。
こっちの方が理にかなっていると思うなあ。
私のように偏平足で足腰の筋肉がヨレヨレでヒザがガクガクなオッサンほど勉強になる本かもしれません。
以前に読んだときは、マラソンもヒザ痛も経験したことがなかったので、今読むと一段と面白い
物語風の前半も走る気をそそる内容ですが、222ページあたりから理論的な内容になり一段と面白くなります。
ところで、私は三連休の間、16キロ、10キロ、10キロで合計36キロ走りました。
ゆっくりペースですが、ヒザが全く痛くならなかったのでとても楽しく走れました。

名言

ジェームス・スキナーさんの「略奪大国」には数々の名言が書かれているな

「資本主義は行き詰ったことがない」
「資本主義の三原則」
①国が通貨の価値を一定に保たなければなりません
②国は赤字国債を発行してはいけません
③銀行などの金融会社が本業に徹しなければなりません

まったくその通りだと思うな。

資本主義講座

ジェームズ・スキナーさんの本を読んでいたら、また小室直樹先生の資本主義講座を聞きたくなった。
日本が資本主義社会になるのはかなり難しいと思うな

(以前書いた私のメモ)
ソ連の問題点
・資本主義批判をしたが、社会主義の欠点を考えなかった
・資本主義に、なろうと思えばなれるのか?を考えなかった
日本は社会主義国である 役人が企業に命令する
社会主義はダメと言われるが、社会主義国で隆々として栄えているのが日本である
日本は平等社会を実現した(日本が世界一平等)
社会主義の弊害 ソ連が潰れた時とまったく同じ理由でピンチになっている
日本では製造業(競争がある)は強いが金融業(競争はない)は弱い
ソ連が滅んだ理由 ロシアになった これを例に(22分50秒あたりから)
エリツィン資本主義化 資本主義になるにはどうすればいいか?誰も研究していなかった
技術が進んで資本が蓄積されたら自然に資本主義が出てくる
資本主義になるのは非常に難しい
自由競争と失業、破産は資本主義の本質
破産すべき企業を無理に生かす 実質失業者を無理に雇い続ける(膨大なムダ)
戦国時代と封建社会どっちがいいか?わからない
ソ連はマフィア経済になった
マックスウェーバーは資本主義になれなかった経済を研究した
中国・・技術が進歩し資本が蓄積されたが資本主義にならなかった
英国・・はるかに遅れているが資本主義になった
理由は中国には「資本主義の精神」がなかったから
資本主義の精神
①労働は宗教的儀式である
②目的合理的な精神
③高い倫理的精神
これらがないと資本主義にはならない(マフィアにはない)
非倫理的とは
①規範があるが守らない
②規範がない(例:アメリカの奴隷制度)
「金儲けは良いことだ」の精神があるか無いか?
「本当はダメだけど、まあ許される」と考えるか?
正直 タイムイズマネー サボるほど得 といった精神なし
ウソのつきっぱなしでは資本主義になれない
今日の日本の経済危機の本質
明治時代から資本主義化
①しかし封建社会の最も基本的部分である地主階級はそのままだった(50%現物で地主が取る)
②ビジネスリーダー 経営者はほとんど下級武士(官僚=役人)
公僕(パブリックサーバント)のはずが日本を支配する主人になってしまった というようなエトスが残った
日本は資本主義でなく封建社会 戦争終結まで続いた
飛行機会社 ⇒ 飛行機は落ちる ⇒ 誰も株は買わない ⇒ 国が銀行に対しカネを貸してやれと命令する 
これが現在の金融政策の原点
戦時体制でスミからスミまで役人が支配
戦後 GHQ 財閥 軍隊 地主解体
だが、官僚による銀行を通じての経済支配はそのまま
日米安保条約 ⇒ 経済に専念せよ ⇒ 官僚喜ぶ ⇒ 成長産業に銀行を通して資本投下
全くの社会主義
現在 ソ連と同じ理由で日本経済危機
もっとも社会主義的な部分=金融システムが崩壊
理由は日本の官僚の欠点
①依法官僚制・・・近代官僚制 法律が支配 目的合理性
②家産官僚制・・・国家は君主の私有財産(例 中国) 
中国の官僚制が典型
ペーパーテストで官僚を決める
明治時代日本でも採用 東大法学部卒が高級官僚になる
科挙 武士道の精神 今は無し 無いのに②であることが問題
特権だけは残った 見かけは①だが本質的に②
無規範 役人はワイロなど悪いとも何とも思わない
日本の官僚は国の財産と自分個人の財産の区別がない
エトス・・ウェーバー
アノミー・・デュルケム

マトモなコメンテーター

今年、最初に読んだ本ですが、すばらしい内容だったなあ。
ニッポンが現状を打破するためには実質社会主義国というシステムを脱却して資本主義国家に変わる必要がある。
というのが内容の要約ですが、私もまったくその通りだと思います。
最近はいろんなコメンテーターなどがテレビに出ますが、この本の作者はかなりマトモな人だと思いました。
マトモな人が本当に少ないので今後、貴重な存在になるだろうな。
ただ、著者は日本が資本主義国家になるための方策をいろいろと書かれていますが、この点についてはほとんど実行不可能だと思うな。
政治家や公務員など既得権益を死守しようとする人たちがその権益を手放すわけがないからです。
日本は行くところまで行ってしまうだろうなあ。
おそらく、近い将来、国債の日銀引受が行われて、お札をバンバン印刷するようになると思います。
インフレが懸念されますが、日本の場合は極端なインフレは起こらないと私は思います。
インフレもまた「見えざる神の御手」によって引き起こされるものなので、それを完全に否定する社会では貨幣価値下落のメカニズムは働かないのではないか?
どっちにしてもお札を大量に印刷して国債を償還してしまえば、国債費の支出が減る。
で、社会保障ですが、これはおそらく外圧(IMFなどの指導)によって縮小され、年金は全員国民年金一本に。医療費は窓口5割負担などになる(診療報酬1点=10円のレートは死守される)と思うな。
公務員給与などは多少減ると思いますが、極端に減らない。
ジェームス・スキナーさんの書いておられるようなプロセスで日本が立ち直るのは理想ですが、なかなかそうはいかないと思うな。
特に今後は日本の重要な方針はすべて外圧によってきめられていくと思います。(TTPなどをはじめとして)
でも、この本、気持ちがいいほど面白く、将来に希望を感じるようにもなります。
この本を読んで、せめて自分や自分の家族は他人から財産を略奪することなく、社会に多少なりとも貢献ができるような存在になろうと思いました。

年末年始は本を読もう

また山本周五郎さんの本を読んでみました。
この本も短編で、文章が非常に読みやすく、すぐに引き込まれてしまいます。
「みずぐるま」が特によかったな。
以前に読んだ「将監さまの細みち」などもそうですが、山本周五郎さんの小説では、いきいきとした女性の登場人物が魅力的に描かれています。
年末年始にもっと山本作品を読んでみようかな。