「おしろかった本・映画・テレビ番組」カテゴリーアーカイブ

勉強したくなる

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今日は子供の授業参観だったのですが、教室の前にある学級文庫で南方熊楠の本を発見しました。
なかなか良い本を選んでいるなあ。
私は以前にこの本を読みました。

南方熊楠といえば、「十二支考」や粘菌の研究などが有名なようですが、私はこれらの学問的なことはわかりません。
が、天才的な頭脳を持ち、興味を持った学問には異常なまでに熱心に取り組んだ人のようで、南方熊楠の本を読んでいると、自分も何かを勉強したくなります。
自分の関心がある分野に集中できるなら、勉強とは実に楽しいもんだ。
そういうことを子供にも学んでほしいなあ。

感動動画

日曜日から昭和天皇に関する本をよんでいます。
本の内容はさておき、
読んでいると、昭和天皇の動画がみたくなりました。
原爆ドームをバックに大勢の広島市民が集まっているところで、昭和天皇が帽子をおとりになってあいさつをされ、市民がこれにこたえて万歳をする動画がありますが、私はこれを見るたびに感動します。

メザシの土光さん

私は土光さんを尊敬していますので、この本を買って読んでみましたが、たいへん勉強になる良い本でした。
何度か立ち読みをしたことはあるのですが、すでに知っているエピソードが多く、買って読むきっかけを失っていたのですが、読んでみると、改めて土光さんのすごさを再確認し、自分も頑張っていこうという気にさせられます。
日本人は全員、土光さんに関する本を読むべきです。
私は、土光敏夫さん、坪内寿夫さん、瀬島隆三さんなど、昭和の日本経済を支えた先輩方の本を読むのが好きですが、皆さんに共通しているのは、その責任感の強さだと思います。

責任感 → 勉強家 → 質素な生活 → 現場主義 → 従業員を大切にする → 感謝の気持ち → 政府や政治家に依存しない

まあ、いろいろとつながっていきますが、責任感の強さが根底にある。
105ページから原子力発電の話になりますが、土光さんは原発推進派で、「本気でやれば故障は起きない」と発言されたそうです。
原発にかかわる人たちが土光さんのような責任感をもって、ことにあたっているのであれば我々国民も安心できるのですが、そうはならない。
今朝もテレビで福島原発事故の様子がテレビで放送されていましたが、発言する人すべてに全く責任感が感じられない。
いかに責任を回避するかということしか考えていないな。
こういう人たちに土光さんのように責任感をもってやれというのは、所詮無理な相談です。
民間企業の経営者は失敗したら倒産します。
経営者は財産・信用・社会的地位などを失い、従業員は失業者となって路頭に迷う。
しかし東京電力は株式会社といっても実質的に国営企業だ
あのような大事故があっても国営企業だから経営者と株主が保護される代わりに、従業員がリストラされ、消費者は電気代値上げで赤字補てんを強要される。
付近住民に対する損害賠償なども、基本的に税金が使われる。
これでは東京電力の経営者に責任感を持てという方がムリですね。
そのような状態で原発を再稼働させるのは大いに疑問です。
ストレステストや安全基準などの技術上の問題ではない。責任感の問題
なので、最低限「原発事故=会社破産」という社会の仕組みが必要だと思います。
破産とはつまり
・破産手続きの一環として会社の事業を新設会社へ譲渡
・売却代金を配当や補償に充てる
・従来会社の株式は紙切れとなり、資産価値を失うことで株主はその責任を負う
・もちろん経営陣はクビ(従業員は新会社に雇用されるが、経営者は職を失う)
実際の対応とは全く逆。
これが資本主義社会だと私は思う。

176ページに「パンとサーカス」という話が出てきます。
「巨大な富を集中し、繁栄を謳歌したローマ市民は、次第にその欲望を増大させ、タダのパンを与えられて労働を忘れ、サーカスに代表される消費と娯楽に明け暮れるようになる。その結果、ローマ市民はそれまでローマ帝国を支えてきた自立自助の勤労精神を失っていき、周囲の蛮族の侵入によって滅ぶ」
日本もヤバいな

私は責任感を育てるために、日本はもっと自営業者、特に若い人の独立・創業・開業を促進する世の中にするべきではないかと思います。
責任感を身に着けるには、自営業者になるのが一番
若い人は、製造業の海外移転などで就職も厳しいでしょうから、起業を考えるチャンスを与えてあげるべきだと思う。
ところが、日本では税制も年金などの社会保障もすべてサラリーマン優遇で自営業者冷遇だ。
このあたりから変えていくべきではないでしょうか?

また、168ページには、カイル・バスさんという人の話が紹介されています。
「日本の財政破綻は避けられない(中略)財政破綻すれば、日本人は資産の四分の一を失うだろう。こうした恐ろしいことが起きて初めて日本にはいい時代がやってくる。一ドル=200円か300円になって日本の輸出競争力が大幅にアップする」

これも怖い話ですが、私もいずれそのような時代が来ると思います。
で、問題はそうなったときに、まだ我々日本人が勤勉・真面目で責任感のある民族であり続けているのかどうか?
これが問題ですね。

土光さんの本を読んで、じっと耐えて、日本経済復活の日を待ちましょう。

心に残る朝のひとこと

今朝、5時に起きたら雨でした。
しかたがないので、走るのはやめてテレビを見ていると、お坊さんのような人が、
「別無工夫(別に工夫なし)」
と言っておられて、これがとても印象に残りました。
夢窓疎石という人の言葉だそうです

→夢窓疎石

テレビで見たのは一瞬でしたが、
「いろいろなことがありましたが、別に工夫なし」
と言っておられましたので、直感的に感じた意味は、
「人間いろいろと辛いこともあるが、そこから抜け出そうとしていろいろと悪あがきしてもダメ」
でした。
勝手解釈か?
でも、こんなところでしょう。
また、昔読んだ岡本史朗さんという税理士さんの本に出てくる
「ノウハウを求める底の浅さ」
という言葉を思い出しました。

また、小室直樹先生だったか?野口悠紀雄先生だったか忘れましたが、「フェティシズム」という言葉の説明をしておられて、これも連想しました。
「フェティシズムとは性的な言葉として理解されることが多いが、本当の意味は「手段の目的化」である。」
と書いてありました。

「別無工夫」をグーグルで検索すると、言葉の意味が出てきますが、その中に
「修行のための修行など無意味。修行はいつでもどこでもできる」
と書いてあるので、似たような意味か?

とりとめがなくなってしまいましたが、要するに何事をなすにも、小手先のノウハウなど意味なし。
やるべきことを淡々とやるべし。
ちょっと元気をもらえる言葉だ

TPPって

野口先生の本「製造業が日本を滅ぼす」には、TTPのことも書いてあります。

・TPPは貿易自由化協定ではない。ブロック化である
・これらは経済学で「関税同盟」と呼ばれる経済協定である。
・簡単に言えば「仲良しクラブ」
・非加盟国に対する排他協定なので自由貿易を促進するのではなく、逆に阻害する(以上219ページ)
・TPPで日本の輸出は増えない(関税が障壁になって輸出が抑えられているということはない)(225ページあたり)
・関税はすでに農業保護以外に格別の意味を持たなくなった(224ページ)
・TPPはアメリカの対中国太平洋戦略の一環であり、中国を排除することが目的である(232ページ)
・日本にとって重要な貿易相手国はTPP不参加国の中にある。とりわけ重要なのは中国だ(231ページ)
・TPP参加 → 中国が対抗手段(EUとFTA締結) → 対中国中間財輸出をドイツに独占される → 日本の輸出は壊滅的打撃を受ける
・「農業開国」「人材開国」を図るべし(247ページ~)
・日本にとって必要なのはTPPやFTAのような閉鎖的クラブを結成してブロック化を進めることではなく、国内既得権益集団の抵抗を排して、あらゆる面で日本を世界に向かって開くことである(251ページ)

よく問題点がわかりました。

TPPについて何冊か読みましたが、他の本はよくわからない。
なかには作者が誰なのかわからない本もありました

一回クラッシュ!

YOUTUBEの動画で、野口先生が次のように言っておられます。

・2000年代、日本経済は既存の産業構造を温存するために海外に需要を求めた
・政策としては、「金融緩和・財政緊縮・円安」
・しかし、本来は産業構造を改革して、国内に需要を求めるべきであった
・その場合の政策は、「金融引き締め・財政拡張・円高」
・2000年代の初めに誤った選択をしたので日本経済はいまだに立ち直れない。

で、この本ですが、基本的には同じ問題点を指摘しているとおもいました。
家電メーカーは海外に需要をもとめて、新興国と価格競争をやって敗北。
自動車産業はすでに大半が海外に移転している。
国内産業空洞化。
それでも「金融緩和・財政緊縮・円安」政策をとっている。

これではダメで、野口先生は産業構造の改革が必要だといっておられます。

例:アップルモデル
「新興国に売るのではなくて、その労働力を買うモデルが確立することが必要だ。(中略)売る相手は、新興国ではなく、先進国でなければならない。アップルが行っているのが、まさにこうした生産と事業モデルだ。したがって、これを「アップルモデル」と呼ぶことができるだろう」(171ページ)

アップルはiphon/ipadなどの魅了的な商品を開発して、台湾で作って先進国で販売しています。
これが先進国の製造業のあるべき姿だ。

で、たしかにそうなのですが、これは日本の製造業にはちょっと無理では?
私も昔、タイヤメーカーで商品開発の仕事をやったことがあるのでよくわかりますが、日本のメーカーというのはiphonが発売されたときに、それによく似た携帯電話で、しかもiphonよりも性能が良いものを作るのは得意ですが、何もないところからiphonを作るのは絶対無理。

と思いながら、YOUTUBEを見ていると、宮台真司さんがこの動画で、まさにそのようなことを言っておられます。

宮台真司さんが、
「3倍4倍の価格でも買ってもらえるような価値・テイストのあるモノを作るべし」
と言ったら、聞き手のアナウンサーが
「それは日本の得意とするところじゃないですか」
と答えます。
この勘違いが重要。
このように考える人が多いのでしょう。
宮台真司さんは「価値・テイスト」と「性能・コンビニエンス」とは違うと解説しておられます。
(日本が得意なのは後者であって、前者は無理)

ではどうしたらいいのかと問われて宮台さんは
「無理。日本は外圧がないと何もできない。一回クラッシュして一からやり直し」
みたいなことを言っておられます。
ちょっと苦笑いしてしまいますが

ところで、大事なことは我々一般庶民・事業主・中小企業経営者がどうしたらよいかです。
中小企業も成長著しいアジアに進出すべきだという話をよく聞きますが、本当でしょうか?
よくわからないですが、野口先生は
日本経済活性化のためには、国内需要向けの高生産性サービス業が必要
とも言っておられます。
我々にできるのは、これではないでしょうか?

忘れられない名作

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調べたいことがあったので、兵庫労働図書館に行ったのですが、そこで小泉八雲さんの記念碑を見つけました。
神戸市中央区中山手通にあるのですが、小泉八雲さんはここに住んでおられたそうです。

数年前、子供の参観日に小学校に行ったとき、廊下にある本棚でこの本を見つけたことがありました。

耳なし芳一の本

 

 

 

 

ポプラ社の名作「耳なし芳一」です。
子供のころ、怖い思いをしながら何度も何度も読んだ本です。
この名作を作られた小泉八雲さんが、こんなに身近なところに住んでおられたとは!
また、この本が読みたくなってきました。

金融緩和

この本、今読んでいる最中なのですが、やはり野口先生の本は勉強になります。
本日、日銀の支店長会議で白川総裁が、
「デフレ脱却の為に金融緩和を強力に推進する」
と発言されたそうですが、この本を読んでいると金融緩和政策に対して大いに疑問を感じます。
野口先生は以前から、今の日本経済はデフレではないと言っておられます。

前にそのことについて書いたブログはこちら

デフレではないのにデフレの対策を講じても意味がない。
それどころか、古い体質を温存してしまうので、かえって構造改革が遅れるのが問題。

で、今回のこの本では、

①日本の貿易立国は終わり。貿易赤字が常態化する
②日本の貿易構造は大きく変化している(工場海外移転、中間財輸出など)
③電力の制約

というように日本経済の構造は大きく変わったのに、昔と同じ対策を打ってもダメ。
古い体質を温存してはいけない。製造業の新しいビジネスモデルを作るべし

といったことが書かれています。
とても理にかなったわかりやすい本だ。
なんで政府や日銀の人たちは野口先生のようには考えないのか?
不思議だ。でも仕方がない
我々は野口先生の本を読んで、自分たちにできることを考えるしかない

ついでににメモ。
「円高でもない」というひとつの参考指標 「ビッグマック指数」
実質レートを推定するために世界各都市でのビッグマックの価格を参考にする。
2012年1月 英「エコノミスト」誌
アメリカ=4.20ドル
日本=320円
320円 ÷ 4.20ドル =76.2円
1月の現実のレートは約77円だった
(「製造業が日本を滅ぼす」71ページ)