一回クラッシュ!

YOUTUBEの動画で、野口先生が次のように言っておられます。

・2000年代、日本経済は既存の産業構造を温存するために海外に需要を求めた
・政策としては、「金融緩和・財政緊縮・円安」
・しかし、本来は産業構造を改革して、国内に需要を求めるべきであった
・その場合の政策は、「金融引き締め・財政拡張・円高」
・2000年代の初めに誤った選択をしたので日本経済はいまだに立ち直れない。

で、この本ですが、基本的には同じ問題点を指摘しているとおもいました。
家電メーカーは海外に需要をもとめて、新興国と価格競争をやって敗北。
自動車産業はすでに大半が海外に移転している。
国内産業空洞化。
それでも「金融緩和・財政緊縮・円安」政策をとっている。

これではダメで、野口先生は産業構造の改革が必要だといっておられます。

例:アップルモデル
「新興国に売るのではなくて、その労働力を買うモデルが確立することが必要だ。(中略)売る相手は、新興国ではなく、先進国でなければならない。アップルが行っているのが、まさにこうした生産と事業モデルだ。したがって、これを「アップルモデル」と呼ぶことができるだろう」(171ページ)

アップルはiphon/ipadなどの魅了的な商品を開発して、台湾で作って先進国で販売しています。
これが先進国の製造業のあるべき姿だ。

で、たしかにそうなのですが、これは日本の製造業にはちょっと無理では?
私も昔、タイヤメーカーで商品開発の仕事をやったことがあるのでよくわかりますが、日本のメーカーというのはiphonが発売されたときに、それによく似た携帯電話で、しかもiphonよりも性能が良いものを作るのは得意ですが、何もないところからiphonを作るのは絶対無理。

と思いながら、YOUTUBEを見ていると、宮台真司さんがこの動画で、まさにそのようなことを言っておられます。

宮台真司さんが、
「3倍4倍の価格でも買ってもらえるような価値・テイストのあるモノを作るべし」
と言ったら、聞き手のアナウンサーが
「それは日本の得意とするところじゃないですか」
と答えます。
この勘違いが重要。
このように考える人が多いのでしょう。
宮台真司さんは「価値・テイスト」と「性能・コンビニエンス」とは違うと解説しておられます。
(日本が得意なのは後者であって、前者は無理)

ではどうしたらいいのかと問われて宮台さんは
「無理。日本は外圧がないと何もできない。一回クラッシュして一からやり直し」
みたいなことを言っておられます。
ちょっと苦笑いしてしまいますが

ところで、大事なことは我々一般庶民・事業主・中小企業経営者がどうしたらよいかです。
中小企業も成長著しいアジアに進出すべきだという話をよく聞きますが、本当でしょうか?
よくわからないですが、野口先生は
日本経済活性化のためには、国内需要向けの高生産性サービス業が必要
とも言っておられます。
我々にできるのは、これではないでしょうか?