消費税は民意を問うべし

今、消費税増税が議論されていますが、非常に良いタイミングで小室直樹先生の名著が再版されました。
小室先生は2010年にお亡くなりになりましたが、まるで今の政治の混迷ぶりを見て、つい最近に書かれたような内容です。(この本は平成元年に出版された「消費税の呪い」の再版)
なぜなら、平成元年の消費税導入以来今日に至るまで、消費税の制度上の問題も、政治が抱える問題も、経済の問題も全く改善されていないからです。
非常にタメになる本で、色々と勉強になる点がありますが、最も重要なポイントは日本はデモクラシー国家になるべしという点(今はデモクラシー国家ではない)だと思います。
「デモクラシー」の反対語はなんですか?と問われると「軍国主義」と思う人が多いが、これは間違いで、デモクラシーの反対は「神権政治」である。(186ページ)
つまり人間中心の政治が「デモクラシー」で、その反対は神様が中心で、神の意志に則って行われる「神権政治」である。
が、今の政治家はこれが全く分かっていない。
選挙で選ばれたら自分が神になったと錯覚している。
では、政治はどうあるべきか?
小室先生曰く(90ページ)、
原敬首相は普通選挙を実施すべきか否か?これが問題になった時、与党が圧倒的に優位な状況にあった(解散しなくても法案は可決されたハズ)にもかかわらず議会を解散した。その結果、政権与党は以前にもまして圧倒的な優位を獲得した。(デモクラシー国家)
一方、岸信介首相は日米安全保障条約の直前に議会を解散しなかった。解散して選挙をしたら勝つに決まっていたし、安保騒動も起きなかった。(神権政治国家 岸首相は自分が神だと錯覚していた)
デモクラシー国家なのであれば、消費税については民意を問うべし。つまり議会を解散して選挙をすべきである。
小室先生は、
「手続き良ければすべて良し」それがデモクラシーだ。(125ページ)とまで書いておられます。
内容や結果よりもプロセスが大事。
「解散・総選挙 」つまり国民が決める。
自主課税。税金とは自分で自分に課するものである。(126ぺージ)
自主課税なき処にデモクラシーなし
ところで、今の総理大臣は、以前、「自分はルックスが悪いから解散総選挙はしない。」と発言しましたが、
一方、大阪市の橋下市長は、議会解散ではありませんが、政策を掲げて選挙で民意を問うというプロセスを踏みました。
この差は大きいな。
消費税増税法案が議会で否決され、結果的に解散総選挙になったとしても政治家としての資質・力量の差は埋められない。
小室先生の本はどれも勉強になるし、面白いのですぐに読み終えてしまいます。
先生の掲げるテーマは、日本が本当の資本主義社会となり本当のデモクラシー国家になるべしという二点にあると思います。
今のような閉塞感漂う時代に、日本のあるべき姿を示す小室先生の本を読んでいると少しだけ明るい気持ちになれますよ。