最近、M&Aに関する本をたくさん読んでいるのですが、M&A会社の営業本(販促ツール)みたいなのが多く、なかなか面白い本が見つかりません。
でも、森生明さんという人が書いた「会社の値段」という本はちょっと違っていて、たいへん勉強になりました。
いろいろ目からウロコ的なことが書かれていますが、なかでも「M&Aの本質」に関する解説がたいへん勉強になりました。
「M&Aは経営支配権を売買する活動です。その原動力となるのは「自分が経営したほうが、企業価値、株主価値を高められる」という自信です。経営者としての力量を競い合う活動、これがM&Aの本質です」
とのこと。
多くのM&A本は会社を売ろうとしている人には
「意外と高く売れる」
ことを訴えて、会社を買おうとしている人には「最近は黒字経営なのに後継者がいないので廃業する会社が多い」
「数百万円で買える」
「経営者の思いを引き継いでほしい」
などと訴えているのですが、脱サラして会社を買おうとしているような方々は本の内容を鵜呑みにしてしまい、買ってからご自分の目論見と全然違うことに気づいて事業に失敗してしまうというケースも多いのではないでしょうか。
世の中にはいろんな会社がありますので一概に言えないとは思いますが、基本的に2〜300万円ぐらいで買える会社はそんなに儲かる会社ではないし、社長が変わるわけですから、今ある売上や利益すら維持できるのかどうか疑問です。そして、そういう会社だから後継者がいないのかも知れません。
テレビドラマで取り上げられるような日本経済を底辺で支え、優秀な技術を持って世界を相手に商売をする町工場的な中小企業は滅多にありませんし、300万円では絶対に買えません。
ただし、だからといって、こんな会社は絶対に買ってはいけないというのではなく、森生明さんが言っておられるように、
「自分が経営したら、今より企業価値、株主価値を高めることができるかどうか」
という視点で会社を分析するべきだと思うのです。
実は私も脱サラ経験者ですので、独立開業を夢見る方々の気持ちがとてもよくわかります。
また、多くの方がM&Aで会社を買って独立開業し、夢を実現されることを祈っています。
そういう方々には是非この本をお読みいただき、夢実現の第一歩を踏み出していただきたいと思います。