歴史認識

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以前から読んでみたいと思っていた本を、GHQ発禁図書出版会というところにお願いして購入しました。
実に衝撃的な内容です。

・資本主義の下では戦争は不可避である
・資本主義国家(帝国主義)どうしを戦わせ、自己崩壊の内戦たらしめる
・ブルジョア政府とその軍隊を自己崩壊させ、プロレタリア革命を遂行する
・資本主義が顛覆され社会主義が勝利を収める(敗戦革命)
・すると戦争がなくなる

つまり日本をアメリカと戦わせ、日本が戦争に負けたところで、一気に日本を赤化しようとした というのがスターリンの謀略であったと書かれています。
(日本ではゾルゲや尾崎秀美らが実行した)

ハルノートを作ったのは、ハリーデクスターホワイトというソ連のスパイだったそうですが、
当時はソ連の謀略活動が非常に盛んであったようで、
日本人としては許せない事実だと思います。

150ページ「日華全面和平工作を打ち壊した者」は特に腹が立ちます。
このような和平工作が成功していれば日米戦争もなかったかもしれません。

私は本を読むのが好きですが、読書の大きなテーマは二つあります。
ひとつは、日本はなぜ戦争をしたのか?
もうひとつは、現代日本はなぜ社会主義国家的なのか?
の二つです。

侵略戦争か自衛の戦争か?
自ら戦争を仕掛けたのか?そのように仕向けられたのか?

小室直樹先生は「資本主義講座」のなかで、
「社会主義国で隆々と栄えているのが日本である」
と言っておられますし、
野口悠紀雄先生は「1940年体制」のなかで、日本経済は戦中の国家総動員体制時のままであると指摘されています。
(おふたりとも、そのことが今日の日本経済停滞の理由であると指摘しておられます)
なぜ、そうなったのか?

この本には、私の二つのテーマに対する答えが書かれています。

敗戦の結果、日本は共産主義国家にはならなかったが、その過程である社会主義的な体制は残った。

昭和初期から日本経済は不況続きであり、家族の悲惨な生活状況を見て、青年将校たちが立ち上がるわけですが、その思想は次のようなものであったと書かれています。

「青年将校の思想内容には二つの面があることに注意する必要がある。そのひとつは建軍の本義と称せられる天皇の軍隊たる立場で、国体への全面的信仰から発生する共産主義への反抗であり、今一つは小市民層及び貧農の生活を護る立場から出発した反資本主義的立場である」(91ページ)
※共産主義は天皇制と私有財産制を否定

「共産主義が資本主義打倒を目的とするからけしからぬというのではない。即ち、日本軍部ファッショの持つ特殊の立場は、資本主義擁護の立場にあるのではなく、資本主義、共産主義両面の排撃をその思想内容としていたところにある。この思想傾向は後に述べる如く、最後まで共産主義陣営から利用される重要な要素となったことを見逃してはならない」(91ページ)

今日の日本の社会体制は、戦前・戦中のこのような社会状況の影響が今日まで受け継がれていると考えられるのではないでしょうか?
終戦後、日本を占領したGHQの中にも共産主義者がたくさんいたそうなので。

「日本は昔、軍国主義だったから破綻したが、いまは民主主義だから平和になった」

などという単純な話ではない。
私たちはあの戦争を共産主義・社会主義・資本主義といった社会体制の面からもっとよく学ぶべきでしょう。

岸信介元首相は巻末の書評で、
「これを食い止めるには、自由主義体制を執るすべての国家が連携して、「自由と民主主義」をがっちりと守り、敵の一党独裁・計画経済に対するに、複数政党・市場経済の社会を死守することである。」

と書いておられます。
私はその通りだと思いますが、その後の日本の歴史はそのようにはなっていません。
これが現在の日本の大きな課題だ