「おしろかった本・映画・テレビ番組」カテゴリーアーカイブ

謎の事件

2.26事件も謎が多い。
「陸軍大臣告示」とはいったい何だったのか?
黒幕と言われる人物が無罪となり、思想的に影響を与えたが事件を実行したわけではない人物が死刑。
陸軍の上層部も徹底的に調べられたようですが、罪に問われず、結局は青年将校が死刑になって責任を取った形だ
その青年将校たちの行動も謎だ。
「逆賊にあらず」というからにはやはり陸軍の上層部からの命令によって行動したのでは?
動画サイトでは実に生々しい、当時の盗聴された電話の内容を聞くこともできますが、これを聞いても、青年将校たちが独断で事件を起こしたとは私には思えない。
というようなことが昔からの疑問ですが、ちょっとスッキリさせてくれる本でした。

対案

政治家の先生方は野口悠紀雄先生の本を読めばいい。
総理大臣は、
「アベノミクスを批判する人は多いが、ではどうすればいいのか。対案を聞いたことがない」
と言いましたが、野口先生の本には対案がたくさん書いてあるのになぁ

罪の文化 恥の文化

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昨日、子供に次のような話をしました。

①A君とB君が学校で悪いことをして先生に怒られた
②A君は自分が悪いことをしたと思って反省し、以後悪いことをしなくなった
③B君は悪いことをしたとは全然思っていないが、先生に怒られたのがショックで以後悪いことをしなくなった。
④これは「罪と罰」という有名な話だ

子供は納得していました。
が、夜寝る前に、
「あれ?「罪と罰」やったっけ?」
と思ってネットで調べてカン違いに気付きました。
「罪と罰」はドストエフスキーの小説で、関係ないですね。
私が言いたかったのはベネディクトの名著「菊と刀」に出てくる「罪の文化」と「恥の文化」でした。
(私が大昔に読んだ現代教養文庫版では257ページあたりに出てきます)

しまった間違えた!
と思って今朝、子供に説明しました。
余計なことですが、不祥事を起こした日本の政治家はほとんどがB君と同じ

経営戦略

この本、KINDLE版でなんと400円で読めます。
かなり古い本ですが、ためになることがいろいろ書いてあります。
大学生のころ、私の所属していたゼミでは「エクセレントカンパニー」(大前研一さん訳)をテキストにしていたのですが、やっぱり似た雰囲気があります。
今にして思えば、日本の企業の経営は
「同業の各社が協定にもとづいて同じようなものを作り、価格も協定し、人間関係(癒着)づくりだけでシェアの獲得競争をする」
という暗黙のルールがあって、今もそれが続いている。
商品差別化や経営戦略による競争を否定する社会主義的な経済。
そういう時代においては、この本に書いてあるような経営戦略が、真逆の思考方法として新鮮に見えたので、当時人気を集めたのだと思います。
もちろん現在においても、このような経営戦略論を否定するわけではなく、海外製品が台頭して日本の各業界のムラ社会的な秩序が崩壊しつつある今日においてはますますその必要性が高まっていると思います。
たとえば、私が昔勤めていたタイヤ会社(業界シェア4位)の株主構成を見ると、大口株主の2位に㈱ブリジストン(業界シェア1位)、9位に横浜ゴム(業界シェア3位)が出てきます。
こんなんで正常な競争ができるのか?
われわれは400円で勉強し、今後の対策をよく考える必要があります。

デフレではない

私は現在の日本経済が「デフレだ」という人の話は信用しませんし、そういう人の本も読みません。
私の知る限り、野口悠紀雄先生だけが「デフレではない」ということを再三言っておられますが、
この本を書かれた藻谷浩介さんもデフレ否定派のようなので、読んでみました。

日本経済はデフレではないので、日本経済停滞の原因はデフレであるはずがなく、日本経済停滞の原因は生産年齢人口の減少による内需縮小であるといっておられます。
私も全くその通りだと思います。
野口先生も言っておられますが、デフレだと決めつけることの問題点は、経済対策が間違った方向でなされてしまうことです。
金融緩和をしてインフレ誘導してもダメ。
世の中の人たちは、こういったマクロ政策によって、仮に物価が上がって給料が上がったとしても実質所得は変わらないということがなんで理解できないのでしょうか?
そんなことを言っている間に、生産年齢人口の減少と内需縮小はますます進んでいく。
この本の作者は触れておられませんが、産業の海外移転も日本経済停滞の大きな原因だと私は思うのですが、これもますます進むな。

藻谷先生のご説明
「(多くの日本人は)在庫が腐って時価が低下していくことや、サービスの価格が過当競争の中で下がることを「デフレ」というマクロ的な現象から生じたものと解釈します。このデフレというのは何なのか、本当の意味は「貨幣供給 < モノ・サービスの供給、という状態」だと思うのですが、それにとどめ置かれずに、どうも単に生産能力過剰でモノの値段が下がったような場合まで「デフレ」にされてしまっているように思えます。」(KINDLEで読んだのでページ数はわかりません)

つまり、高校の政治経済で最初に勉強する「需要と供給=価格決定メカニズム」とインフレ・デフレを混同しているのです。
アマゾンの書評で、
「この作者は生産年齢人口の減少がデフレの原因だといっているが・・・」
などと書いている人がいますが、そんなことは書いておられません。
でもそんな風に理解してしまう人がたくさんいるんだろうなあ。

葛飾柴又


「男はつらいよ」は、やっぱり浅丘ルリ子さん(リリー)との共演作がいいな。
昨日、これを見ましたが、面白かった。
最後のほうで、寅さんとさくらがリリーを見送るシーンがありますが、あれは本物の柴又の駅ではないでしょうか?
実は、私はサラリーマン時代の平成7~8年ごろ葛飾柴又に住んでおり、目白にある会社に通うために京成線で日暮里まで出て、山手線に乗り換えて通勤しておりました。
普段は一つ日暮里寄りの高砂駅まで歩いて、そこから電車に乗っていましたので、柴又駅はあまり使わなかったのですが、それでも時々は使ったことがあるので、とても懐かしく思いました。
葛飾柴又はとてもいいところで、ホントに寅さんがひょっこり出てきそうな雰囲気の町だったなあ。

この映画傑作!


私は大学時代、高倉健さんの映画にはまった時期がありましたが、寺島純子さんとの共演シリーズはあまり見なかった。
が、この映画傑作!
高倉健さんはかっこよく、寺島純子さんは実に美しい。
というか、寺島純子さんもかっこいい
昔の映画は画面全体が美しいな。
もちろんストーリーも面白い。
最近あまり映画を見ませんが、やっぱり昔みたいな面白い映画がないからだろうな

どうせ死ぬなら桜の下よ
死なば屍に花が散る

「田原坂」の歌詞をインターネットで調べたら、この二行が出てくるのに、you tubeで見ると、どの動画でも、なぜかこの部分が出てこない(歌われない)。なんで?

「正しいことをやりたかったら偉くなれ」②


小室直樹先生の名著の一つですが、こう書いてあります。
「デモクラシー」の反対語はなんですか?と問われると「軍国主義」と思う人が多いが、これは間違いで、デモクラシーの反対は「神権政治」である。(186ページ)

つまり人間中心の政治が「デモクラシー」で、その反対は神様が中心で、神の意志に則って行われる「神権政治」である。
世界史に類を見ないといわれる戦時中の軍事政権(東条英機内閣、軍人である東条英機さんが総理大臣、内務大臣、陸軍大臣などを兼務)が成立した時代もちゃんと普通選挙が実施されていて、その意味では民主主義の手続きが行われていた。
日本の歴史教育は年号のマル暗記ではなくてこういうことを教えないとダメだと私は思います。

問題は、選挙で選ばれたら自分が神になったと勘違いしてしまうことです。
日本の場合は、政治家が選挙の公約を平気で破るといわれますが、これは
「自分は選挙で選ばれたので、(任期満了までは)神になったのでなんでも許される」
という思想に他なりません。

小室先生は「危機の構造」でも、
「日本人の思考・行動様式は戦前のそれと全く変わっていない。」
と言っておられますが、私もそう思います。


この本でも言っておられますが、日本の民主主義はまだまだ未熟である

正当な憲法改正の手続きをとらず、時の政権が憲法の解釈変更で真逆の法律を通すことは民主主義の否定(つまり神権主義)です。
昨日も書きましたが、議案そのものの良し悪しは別問題で、今、重要なのは、どのような手続き(プロセス)をとるかです。
また、今回の問題が可決成立した場合にはそれが前例となります。
今回もニュースを見ると過去の判例などが引き合いに出されていますが、あのように未来永劫、前例となる。
すると憲法9条の規定なども真逆の法律解釈に基いた法律を通すことが理屈上は可能となり、憲法は形骸化する。
今般の「前例」を根拠に将来の政権がどんな法律を作ってしまうのか?
考えたら怖いな。
「そんなことをするわけがない」
と誰が言えるのでしょう?
民主主義の手続きに従ってことをすすめていだくことを切に願います。

日本はどうなる?

kindle版を購入し、面白かったので二回読みました。
シンガポールを今日のように発展させたリークアンユーさんが今後の世界情勢について語っておられます。
たいへん説得力のある内容で、興味深い。

アメリカの未来
・アメリカ経済が傑出しているのは、起業家精神が社会に根付いているからだ。
・起業家も投資家もリスクや失敗を成功につきものの不可欠な要素だとみなす。
・アメリカで成功している企業はみな、何度も挑戦しては失敗している。
・アメリカ起業文化の特色 ①国が個人の自立と独立独歩を重視すること②新規事業を始めた者を尊重すること③企業や革新の努力が失敗しても受け入れること④大きな所得格差を容認すること
・アメリカは債務超過や赤字に悩まされているが、だからといって二流国家に転落することはない。歴史を振り返るとアメリカは革新や再生の能力が高いことがわかる。
・アメリカ社会は歴史も文化も宗教も異なる相手を、簡単に仲間として受け入れる
・きわめて危険なのは、アメリカ経済の回復に時間がかかりすぎてアメリカが保護主義的になり、貿易摩擦や日本バッシングが拡大することだ。最悪の場合には貿易や経済の関係が悪化し、相互の安全保障関係が弱体化し、破綻してしまう。

日本についてはあまり書かれていませんが、日本はアメリカの逆(起業や革新の精神に欠ける、閉鎖的、保護主義的など)の性格をもつ国なので、暗に今後は衰退するといっておられるように私は感じます。

日本がアメリカのような起業社会・資本主義社会になれるかというと、これは絶対に無理なので、今迄通り保護主義・社会主義的な社会であり続けるしかないのですが、今までと違って今後は、そのことが日米関係を悪化させるようになる。
そうすると本当に「きわめて危険な」状況が起こるかもしれません。

インドの未来、中国の未来、イスラム原理主義の未来など、日米以外の国々のことも詳しく書かれています。

東京の戦争

出張で東京に来ているのですが、仕事が終わったので、吉村昭さんの「東京の戦争」を読んでいます。
この小説は吉村昭さんの体験をもとに戦時中の東京の様子を描いた作品ですが、冒頭に、
「私は昭和2年5月1日に生まれた。年号が大正から昭和に改元されたのは前年の12月25日であるので、私は昭和という時代そのものを生きたことになる。」
と書いてあります。
で、実は亡くなった私の父も昭和2年生まれ(3月5日)で、名前も同じ「昭」なのです。
名前が同じなのは知ってましたが、同い年とは知りませんでした。
昭和になったばかりの年に生まれたから昭と名付けたのでしょうか?
終戦時には18歳で軍隊に入るギリギリの年齢だったと書いてあります。
当然、年齢的にはすべて父とダブりますので、読んでいるとまるで父の昔話を聞いているような気分になります。
吉村昭さんの小説は昔から好きですが、一層親近感が湧いてきました。